NIZと呼ばれる迷宮へ。 しまりすのダンジョン探索日記#2
冒険者登録を済ませた後、迷宮の入り口でつむぎと合流していよいよ迷宮探索を開始する。
とりあえず基本的な装備は支給されたものの、武器と鎧だけで少し心許ないけどまぁ仕方ない。商店の品物も冒険者が迷宮から持ち帰った品に頼っているようなので、装備に関しては自給自足のような感じになるらしい。
後衛組は基本的な魔法を少し教えて貰えたようで、とてもはしゃいでいた。良かったね。
しまりす一家のパーティ構成
前衛 | しまりす[戦士] | 細かい事はあんまり気にしないけど、間違ったコトはキライ。牛乳を毎日飲んでいる。 |
てつこ[戦士] | しろごはんの妹。ほとんど同じ顔をしている。間違ったコトはキライ。 | |
ねこちゃん[盗賊] | ねこに似ているペット。もこもこの後輩。つむぎが好き。 | |
後衛 | しろごはん[魔術師] | しまりすの奥様。つむぎの母。てつこの姉。いつも肩凝りに悩まされている。 |
もこもこ[僧侶] | うさぎに似ているペット。ねこちゃんの先輩。しろごはんの眼鏡を守る夜勤をしている。 | |
つむぎ[ビショップ] | しまりすとしろごはんの娘。素質は高い。家ではいつもずーっと歌っている。 |
迷宮に潜るにあたって訓練場で言われたことは、2つ。
『入口から一番近い扉を開けたら全力で戦え』
『その戦闘を無事切り抜けたらすぐに町に帰って休め』
ある程度経験を積むと少し楽になるようだけど、とにかく最初の1戦を乗り越えて町に帰ってくるのが重要らしい。初心者狩りってわけでもないだろうけど、そこで待ち伏せして金品を奪うような輩もいるんだろうか。怖い。
とにかく最初の一戦が大事!それだけを考えて迷宮に足を踏み入れた。
迷宮は薄暗い通路が続いているけどかなり整備されているようだった。
いくつかの階層に分かれている構造であることは知られているが、その詳しい内容や地図は一切出回っていない。地図が商店で売っていればもっと探索が楽になるんだけど、さすがに賞金と地位がかかっていれば他人の得になるようなことをする人間はいない。
一番奥まで行っている冒険者はどれくらいまで行っているんだろう?
でも最初に“大魔術師の魔除け”を持っていけなかったとしても、この探索で生計を立てている冒険者もいるわけだし生活はもしかしたらしていけるのかもしれない。常に死と隣り合わせでしかも報酬も安定しないという職種ではあるけど。
そして例の『最初の扉』に辿り着く。
特に気配は感じないけど、聞いた話では扉の奥にはほぼ確実にモンスターがいるらしい。そこまで分かっているのに扉越しに攻撃できる魔法や武器は開発されないんだろうか。物陰から奇襲されることもあるだろうし。
いや、そもそも中のモンスターは部屋で何をしているんだろう?
まぁ四六時中冒険者の訪問があり、もしそれを倒す事が出来たのなら食事タイムになるだろうし、その合間でさらに冒険者がきて、みたいな感じになっているんだろうか。モンスターも大変だ。
さて、では覚悟を決めて扉を開ける!いくよ!
これは……両方人間?それとも人間とモンスターが一緒に行動している?
ローグは明らかに人間、その後ろにいるのは“人間型の生き物”でまだ正体は分からない。
物理攻撃で攻めてきそうな感じがビンビンするから、体力が3(!?)しかないしろごはんは攻撃対象にならないだろう。人数もコチラが有利だしとにかく全力で行けば勝てるはず!!
前三人はローグにとにかく直接攻撃!
しろごはん、つむぎは“スリープ”で敵を無力化!
もこもこは回復はまだいらないから“パニッシュ”で攻撃!
“人間型の生き物”はほぼ無効化に成功したけどローグにはスリープが効いていない!
前衛3人全員で攻撃してるし、とりあえずココで突破しておきt……。
その時、最前列で戦っていたお父さんが倒れました。
戦い慣れたローグの攻撃は、お父さんに一撃で致命傷を与えていたようです。
悲しんでいる暇はありません。全力の攻撃でまだ敵の数を減らすことも出来ていない状況。
もこもことつむぎを庇ってお母さんが前衛の残った2人に合流。
そしてそこに……!
ローグにお父さんとお母さんが倒されてしまいました。
“倒された”なんて生ぬるいモノではありません、二人は“殺されて”います。
もう体制を整えることはできないので、そのままてっちゃん(てつこ)の指示で全力で攻撃をしていきます。
直接攻撃と魔法攻撃、ひとまず“人間型の生き物”は無視してローグに集中!
そこからの事はあまり覚えていません。とにかく生き残る事だけを考えて戦いました。
てっちゃんの話では上手くスリープが効いたのと、なぜか逃げ出した敵もいたのでなんとか問題の1戦目を生き延びる事ができたようです。
お父さんとお母さんは死んでしまったけど町にある寺院で生き返らせる事が出来るので、まずは運んであげないと……。
魔法や寺院での祈りによって人間を蘇生することができるのはこの世界では常識となっています。生き返るかどうかは生命力が問題となるようで、あまりに生命力がないと生き返らない場合もあります。お年寄りとかは難しいのかな?
お父さんとお母さんは……大丈夫だと思うけど、少し怖い。
『囁き、祈り、詠唱、念じろ』